「会議は回っているし、情報共有もできている。でも、表面的な話にとどまり議論が深まらない」。そんなもどかしさを抱えていたリーダーシップチームがありました。
役割分担はできている。報告もある。けれど、個々の役割を超えて踏み込む議論や、チームとして主体的に意思決定している感覚はまだ弱い。一人ひとりは優秀でも、「チームとして同じ方向を見ながら進んでいる」という実感が薄い状態だったのです。
そこで取り組んだのは、「もっと一体感を持とう」と働きかけることではありませんでした。もう一段深いところ、つまり「自分たちは、このチームとして何のために存在しているのか」を、メンバー自身の言葉で問い直すことでした。
話し合いを始める前に、まず「探求する姿勢で、今ここで感じたことを率直に共有すること」と、「すぐに判断や否定をせず、違いを尊重しながら相手の話を聴くこと」というグラウンドルールに合意しました。
シンプルですが、この共通前提を明確にしたことで、場の空気は変わり始めました。
役職や立場を気にして言葉を選ぶのではなく、感じていることや考えを自然に出し合う。相手の話を途中で評価するのではなく、まず受け止めながら耳を傾ける。そんな対話が、これまで以上に生まれるようになっていったのです。
業績目標や組織運営を議論する前に、私たちはあえて「チームのパーパス(存在意義)」を言語化することから始めました。
なぜこのメンバーが、いまこのタイミングで集まっているのか。
なぜ個々の役割を超えて協働する必要があるのか。
自分たちは、チームとして何を実現したいのか。
普段は立ち止まって考えない問いに向き合うことで、メンバーの視点は「自分の担当領域」から、「チーム全体」「会社」「その先の社会」へと自然に広がっていきました。
パーパスは、誰かから与えられるものではなく、自分たち自身で見つけ直していくもの。そのプロセスを通じて、チームとしての意味や誇りが自然と共有されていきました。
今回の取り組みでは、主に以下の観点から対話と協働のあり方を整理していきました。
チームのパーパスを整理した後、「では、自分たちは何に力を注ぐべきなのか」という問いをもとに、チームとしての優先事項や協働の方向性について対話を深めていきました。
忙しさや個別最適に流されるのではなく、「チームとして本当に大切にしたいことにつながっているか」を判断軸にすると、優先順位や協働の方向性が整理されていきます。
メンバーは、何のために集まり、何を目指して対話し、意思決定をしているのかを、共通の視点で捉えられるようになっていきました。
印象的だったのは、ワークショップが終わるのを待たずに、その場で対話や行動に変化が現れ始めたことです。
一体感は、単なる雰囲気ではなく、日常の対話や行動の中に表れるもの。その変化を、メンバー自身が実感していきました。
この取り組みを通じて、チームには次のような変化が定着していきました。
チームは、役割の集合体から、共通の目的に向かって協働する存在へと変化していったのです。
この事例が示しているのは、一体感や成果は、「もっと仲良くしよう」という働きかけだけでは生まれない、ということです。
「自分にとって」「チームにとって」「会社や社会にとって」。その目的が重なり合い、自分たち自身の言葉で意味づけされたとき、チームには自然と主体的な推進力が生まれていきます。
もし今、
そんな感覚があるのなら、チームのパーパスを、もう一度自分たち自身の言葉で問い直してみることが、次の変化への入り口になるかもしれません。