評価の納得度を高める取り組み

新たな評価・報酬制度を導入後、社員やマネージャーの間に「評価への納得感が得られない」という声が上がりました。

 

そこで制度そのものは変えず、評価カリブレーションや目標設定の改善、昇格判断の透明化を導入。結果として、評価の公平性が高まっただけでなく、マネジメントの学びやベストプラクティス共有の場へと発展しました。

社員もマネージャーも抱えていた「評価への不安」

数年前に新たな評価・報酬制度が導入されていたが、社員の間では評価や報酬への納得感が十分に得られていなかった。マネージャーからも「どのようにすれば部下に納得してもらえるのか」という声があがり、評価の運用面で改善の余地があることが明らかになっていた。

制度は変えず、運用改善で納得感を高める

既存の制度そのものは維持しつつ、運用方法を見直すことで本来の目的に沿った評価が行われるよう改善を図った。まずは現行の仕組みを最大限活かすことを重視し、混乱を避けながら「納得感」を高めるための実践的な工夫を導入した。

すり合わせの仕組みづくりと昇格判断の透明化

  • 評価カリブレーションの導入
    部門ごとに部門長とマネージャーが集まり、評価のすり合わせを行う場を新設。評価の基準や目線を共有することで、一貫性と公平性を高めた。
  • 目標設定プロセスの改善
    目標が数値に偏り、行動や努力が評価に反映されにくい点が課題であったため、期初にマネージャー同士で目標をすり合わせる会議を導入。これにより、より客観的で納得感のある評価が可能になった。
  • 昇格判断の透明性向上
    これまで上司の申請に依存していた昇格プロセスを、経営陣による昇格会議へと移行。判断の透明性と公平性が高まった。

評価を超えてマネジメント改善の場へ

  • 評価カリブレーションを通じて、マネージャーは自らの評価傾向を振り返ることができ、組織全体で評価の基準が揃った。
  • 会議の場は単なるすり合わせにとどまらず、マネジメントの工夫や課題を共有する学びの機会となり、ベストプラクティスが部門間で広がった。
  • 「評価をどう伝えるとモチベーションにつながるか」「高評価者や低評価者へのフィードバック方法」「ポテンシャルの高い社員をどう育成するか」など具体的なケースに基づく議論が進み、行動につながる指針が明確になった。

マネージャーの声から広がる前向きな学び

  • 「評価だけでなく、パフォーマンスが上がらない社員や昇格候補への対応についても意見交換できるのはありがたい」という前向きな声が多く寄せられた。
  • 当初は「自分のチーム以外の状況は分からない」と参加に消極的だったマネージャーも、他の評価視点を学ぶことで、自身の評価の偏りや過去の経験に基づく思い込みに気づくようになった。

部門から全社へと広がる展開

まずは部門単位での取り組みから始めたことで、評価に対する理解と納得度が向上した。今後は全社レベルで経営陣によるカリブレーションを展開し、後継者育成や報酬制度の見直しについても議論を深めていく予定である。